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IQとEQ 論理と情緒が互いを高め合う
お盆休みも明け、塾生のみなさんが元気な顔で教室に戻ってきてくれました。ご家族での団らんや普段できない体験を通して、有意義でリフレッシュできた時間を過ごせたでしょうか。
さて前回の記事では、お盆休みの体験は知識だけでなく心や感性を育む大切な時間とお伝えし、IQとEQの結びつきについて次回深掘りするとお伝えしました。
ここで言うIQとEQについて、少し言葉を整理しておきたいと思います。
IQ(Intelligence Quotient)とは、一般的には「知能指数」のことで、複雑な問題を論理的に解き明かす頭の働き、つまり論理的思考力を指します。塾での日々の学習や問題演習を通して鍛えているのは、主にこの力です。
一方でEQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、「感情的知性」と和訳され、自分の感情をコントロールしたり、相手の気持ちを汲み取ったり、困難に直面したときに折れずに踏ん張る心の働き、他者と協調性をもって事にあたるような、言わば「情緒面の知性」を指します。これは、ボーイスカウトの野外活動や部活動など、自然や人間関係といった生きた現場での体験を通して育まれる力です。
一見すると、これらは学びの場もアプローチも異なるため、学習能力(IQ)の向上と感情的知性(EQ)の向上は全く別物であり、時には相反する概念のように捉えられがちです。
しかし、現代の脳科学や認知心理学における実行機能(Executive Function)理論や、脳神経学者ダマシオらが提唱したソマティック・マーカー仮説などが示す通り、論理的な思考(IQ)と感情の抑制や意思決定(EQ)は、いずれも脳の前頭前皮質という同じ統合領域を基盤として働いています。つまり、優れた論理的判断には健全な感情制御が不可欠であり、これらは脳の構造上、根源的に切り離せない一体のものなのです。
私は、本業で学習塾の塾長・講師として塾生の学力を高める現場に立ち、同時にボーイスカウト指導者として野外活動などを通じたEQの向上に資する活動に長年携わる中で、まさにこの脳科学の事実を実感してきました。IQとEQは別々の能力ではなく、その人が本来持っている長所や人間的な強みが、脳の同じ領域とつながりながら、異なる場面で発揮されている表現の違いに過ぎない、ということを体感的に理解してきたのです。
もちろん、それらを伸ばすための実践的なアプローチはそれぞれ異なります。机に向かって集中し論理的な思考を磨き上げる塾での学びと、仲間と協力しながら困難を乗り越えていく野外活動や部活動での体験。これらは対立するものではなく、脳の実行機能を多角的に刺激し合い、大きな相乗効果を生み出します。
現場の実体験で養われた粘り強さや自己統制力は、難しい問題に粘り強く挑む受験勉強の力強い支えとなり、逆に塾で培った筋道立てて考える力は、複雑な現実の課題を整理し解決する力をより確かなものにします。
心が豊かなのは人間としての大切な前提であり、その上で思考力や知性も極限まで高めていく。異なる体験を通して互いを引き上げ合い、どちらか一方を理由にして妥協することなく両方を愚直に伸ばしていくことこそが、本当の意味での成長だと考えています。
10代という時期は、脳も心も非常に柔軟で、大いなる可能性に満ちあふれています。だからこそ、大人が勝手に限界や選択肢を絞ってしまうのではなく、彼らの可能性をどこまでも広げてあげたいのです。
机の上で頭を鍛える時間も、現場で心を磨く時間も、すべては子どもたちの未来を支える大切な両輪です。休み明けの後半戦も、さらに一回り大きくなったみなさんと教室で向き合い、その両方を誇りを持って高めていけるよう、私たちはこれからも全力で伴走してまいります。